鼻の病気
アレルギー性鼻炎
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新生児・乳児の鼻閉と喘鳴
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【アレルギー性鼻炎】

 アレルギー性鼻炎は、今や国民病と言われる程ポピュラーな疾患となっています。春先のスギ花粉症でお困りの方は多いと思いますが、それ以外にも、ダニやハウスダスト(ホコリ)、ヒノキ花粉、イネ科花粉など、様々な原因抗原によりアレルギー症状を生じている可能性があります。その発症の仕組みは、沍^アレルギーに沿った形を示し、ホコリ等の原因物質に繰り返し接触することで、体の中にその原因物質に対する抗体(IgE)ができ、鼻の中で原因物質(抗原)と抗体が反応することでヒスタミンが放出され、様々な症状を引き起こすと言われています。抗体産生に関する遺伝的要因や、周囲環境の原因物質の量、大気汚染等の環境要因など、さまざまな因子がアレルギー性鼻炎の発症に関与するとも言われています。

 アレルギー性鼻炎を持つお子さんの割合は、20〜30年前には数%程度であったが、その後増加の一途を辿っています。性差は男児が女児の2倍以上といわれ、10歳未満での発症が大半を占めるとされていますが、近年、アレルギー性鼻炎の発症年齢の低年齢化が指摘されており、実際2シーズン目にスギ花粉症を発症する方も見かけるようになってきています。

 症状としては、クシャミ(発作性・反復性)、水様性鼻汁、鼻閉の3主徴が挙げられます。お子さんでは、鼻腔が狭く、わずかな鼻粘膜の腫脹でも通気が阻害されるため、鼻閉症状を来しやすく、一方、クシャミ症状は低年齢層では必ずしも高度ではないと言われています。鼻汁は通常は水様性あるいは漿液性(いわゆる水っぱな)ですが、お子さんでは副鼻腔炎を合併している方も多いため、粘膿性を示すことが少なくありません。

 これらの自覚症状に加えて、鼻の中を観察して、鼻粘膜がアレルギーに特徴的な蒼白浮腫状となることや、鼻汁中の細胞の検査(好酸球検査)や血液検査(血清IgE抗体検査)で診断を確定し、さらに抗原皮膚テスト、鼻粘膜抗原誘発テスト、特異的血清IgE抗体検査(RAST、MAST、CAP)などで、原因物質を特定します。

 アレルギー性鼻炎に対する治療の基本原則は、原因抗原への接触を避けるための環境整備が中心となります。そのため、まず最初に血液検査等により原因物質を確定します。通常、ハウスダストやダニのアレルギーが中心となりますので、これらを避ける日常生活の注意により、症状が軽減される方も少なくありません。

 環境整備で症状のコントロールが不十分な方には、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、漢方製剤等の内服、各種の点鼻を使用します。また、原因物質を低濃度から徐々に濃度を上げて皮下に注射を続け、原因物質に対する抵抗力をつける特異的減感作療法や、手術的に鼻粘膜を切除するあるいはレーザー等で焼灼する方法も考えられます。ダニやハウスダストに対する特異的減感作療法の有効率は60〜80%といわれ、アレルギー性鼻炎の治療における有用な選択肢の1つではありますが、一方で、スギ花粉では有効率が低く、また長期にわたる通院の負担や、注射によるショック・喘息の誘発などのリスクの問題もあり、その適応には慎重な検討が必要となります。また、手術療法は、数年で症状の再発を認める可能性もあることから、症状が高度で日常生活での支障度が大きい方が適応になると考えられます。

 最初に問診でアレルギー性鼻炎に特徴的な症状の有無、程度、症状の季節性、誘因などを聴取する。前述した3主徴の存在を確認し、次いで、鼻内所見でアレルギーに特徴的な蒼白浮腫状の鼻粘膜の存在を確認すれば、ほぼ診断は間違いないと考えられる。季節性および誘因からは、原因抗原の推測も可能である。

 補助診断として、鼻汁中好酸球検査は非常に有用である。末梢血中の好酸球検査や血清総IgE検査もアレルギー素因の有無に関して診断的価値がある。また、小児では副鼻腔炎合併症症例も少なくないことから、副鼻腔単純X線検査でその有無を確認したり、鼻閉症状を来す疾患の鑑別診断として、アデノイド増殖合併の有無をレントゲンで確認することが、その後の治療方針の決定に有用である。

 原因抗原を確定する検査としては、抗原皮膚テスト(皮内テスト、スクラッチテスト)、鼻粘膜抗原誘発テストなどがあるが、通常は各抗原に特異的な血清IgE抗体検査(RAST、MAST、CAPなど)が行われることが多い。
 鑑別診断としては、感冒症状にともなう急性鼻炎、急性・慢性副鼻腔炎、血管運動性鼻炎などが挙げられるが、随伴症状や、鼻汁の性状、前述した各種検査により、その鑑別が可能と考えられる。

アレルギー性鼻炎の方の日常生活における注意点としては
1) 集合住宅のように、気密性の高い家屋では換気が不十分となり、ダニが発生しやすくなる。特に絨緞や畳はダニの繁殖を助長するため、子供の生活空間にはできるだけ絨緞を避け、畳も時間をかけて丁寧に掃除機をかけ、部屋の整理整頓に心掛ける。
2) 寝具は羽毛・羊毛ふとんを避け、頻回に干して日光消毒を行い、干した後は掃除機をかけ、カバーを掛けて用いるようにする。また、まくらや衣類、本人のお気に入りの「ぬいぐるみ」にも注意する。
3) 室内の冷暖房器具にも注意し、部屋の湿度を40〜50%以下に保つようにする。市販の空気清浄器もかなりの効果を期待できる。
4) 家のなかでペットを飼わない。


また、花粉対策としては、
1) 花粉は通常晴れて風の強い日の午後に多く飛散し、雨の日に少なくなる。このような花粉の飛散と天候の関係を十分に認識させる。
2) 外出の際には、マスクを着用し、つばの付いた帽子をかぶる。
3) 外出後にはうがい、洗顔・洗眼を行う。着衣に付着した花粉も、よく払うようにする。
4) 外に干した布団や洗濯物は、花粉を残さないように、よくはたいてから取り込む。


その他、
1) 喫煙などの誘因を避ける。
2) カビに対するアレルギーでは室内外のカビの除去に努める。
3) アレルギーに負けない体力作りのため、規則正しい生活、適度の運動を行う。


などが挙げられます。