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新生児・乳児の鼻閉と喘鳴
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【新生児・乳児の鼻閉と喘鳴】

 鼻閉も喘鳴(鼻の奥あるいはのどのゼロゼロ音)も、ともに上気道(鼻からのどにかけての空気の通り道)の狭窄症状として出現している可能性があります。新生児・乳児早期の呼吸は鼻呼吸が中心で、口呼吸で代償できるようになるまでには数カ月を要するといわれています。そのため、この時期に何らかの原因で鼻閉を生じると、仮にそれが片側性の鼻閉であっても、重篤な呼吸困難を来す可能性があります。呼吸困難に至らない場合でも、哺乳障害の原因となり得ます。

 新生児・乳児早期の鼻閉や喘鳴では、早急に原因疾患を突き止め、早期に治療あるいは対応して呼吸困難の改善をはかることが必要となります。

1.先天性鼻閉・喘鳴
 生直後から生じる鼻閉の原因疾患としては、後鼻孔閉鎖、狭鼻症、頭蓋顔面奇形などの先天奇形や、良性悪性を含めた種々の先天性腫瘍が考えられます。

 鼻閉の診断は、
 簡易的には鼻にネラトン等のカテーテルを通して、通過するか否かで確認します。鼻から空気を送り込み、咽頭への空気の流れを確認する方法もあります。確定診断としては、ファイバーで直接観察する方法や、鼻腔造影を行うことが考えられます。CTやMRI等の画像診断も有用ですが、検査にあたって鎮静が必要となることが多く、検査中に呼吸状態がより悪化する可能性があることに注意しつつ施行する必要があります。狭鼻症の場合、顔面正面の単純X線撮影により、狭窄の程度の診断が可能です。

 治療方針としては、
 呼吸困難症状の改善を第一に考えます。そこで、可能であれば経鼻的にエアウエイの挿入を試みますが、骨性の後鼻孔閉鎖等の完全閉鎖の場合や狭窄の程度が強い時には挿入不能となりますので、その場合には経口エアウエイや気管内挿管、場合によっては気管切開まで考えることになります。次いで哺乳障害に対する経管栄養を考え、呼吸と栄養が確保され上で、詳細な検査を行い、診断・治療方針を検討します。通常、鼻咽腔の構造異常や腫瘍では手術が必要になります。腫瘍性疾患の場合には早急に生検を行いますが、手術侵襲の大きさを考えると、悪性腫瘍の場合を除けばすぐには根治手術を行わず、成長を待って手術に踏み切る選択も考えられます。悪性腫瘍では、生検によって確定した組織型に応じて手術、化学療法、放射線療法を組み合わせた治療を行います。後鼻孔閉鎖の場合には、体重が4〜5kgになるのを待って手術を行うことが多く、頭蓋顔面奇形ではさらに成長を待つ必要があることが一般的です。狭鼻症では2〜3倍に希釈したプリビナやトーク等の血管収縮薬の点鼻が有効なことが多く、手術が必要となる例は少ないと考えられます。

 一方、先天性の喉頭吸気性喘鳴の原因としては、喉頭軟弱症、舌根嚢胞、喉頭嚢胞、喉頭麻痺、声門下狭窄、声門下血管腫等の原因が考えられます。いずれも局所麻酔下あるいは全身麻酔下にファイバーで患部を直接観察することで診断されますが、頚部正面・側面の単純X線で、嚢胞や声門下(気管)の狭窄が描出可能な例もあります。また血管腫の場合、生直後は異常なく、生後2〜3ヶ月になって血管腫が増大して喘鳴等の症状が出現してくる例や、体表面の別の皮膚部分に血管腫を伴う例が多く、診断の参考となります。喉頭軟弱症以外は、いずれも小児専門の耳鼻咽喉科において、入院加療が必須となり、気管切開を要する例も少なくありません。


2.後天性鼻閉
 鼻閉の多くは、新生児鼻炎あるいは乳児鼻炎といわれる鼻粘膜の浮腫が原因であり、自然の経過で、あるいは血管収縮剤の点鼻(基本的には小児禁忌の薬剤ですが、濃度を2倍あるいは3倍に希釈して使用することがあります)で軽快してきます。自ら鼻をかむことが出来ない乳幼児では、点鼻後に市販の鼻吸い器具を使用するのも効果的です。また軽度の狭鼻症や腫瘍性疾患が、遅れて症状を出現させている可能性もあります。ファイバーにより腫瘍性疾患の可能性を検討し、必要に応じてCTやMRI等の精密検査を行って診断します。腫瘍性疾患では、先天性の場合と同様に、生検で良性悪性を確定して治療方針を決定することになります。

 また、満1歳前後になると、咽頭扁桃(アデノイド)の増殖による鼻咽腔の閉塞が、鼻閉やいびき、あるいは無呼吸を生じる原因となっていることがあります。症状が高度であれば、この時期に手術することも考えられます。なお、口蓋扁桃肥大がいびきや無呼吸の原因となるのは、2〜3歳以降がほとんどです。